スインプロイクのよくある質問に答えておこう
2018年6月1日からスインプロイク14日の投与期間制限がはずれて、長期投与が解禁されますね。
14日制限が外れると、トラムセットやワントラムへの処方も増えてくる可能性があります。
処方が来てから調べるのではなく、来る前から調べておこう。
スインプロイクが処方された時に確認しておくべき項目をいくつか書いておきます。
□オピオイドの併用はあるか?(コデインとかでもいいんですよ)
□1日1回 1回1錠か?(適宜増減なし)
□禁忌:消化管閉塞の既往などはないか?(スインプロイク自体での報告はないが、海外の類薬での報告があるため禁忌になってる)
あんまり確認することないな。
オピオイドは中枢と消化管のμオピオイド®を介して鎮痛と便秘を起こす。
消化管のμオピオイド®だけをブロックしてくれんのがスインプロイク。
分子量大きくすることで血液脳関門を通りにくくしてるみたい。
スインプロイクは一包化できますか?
スインプロイクは分包OK。
遮光袋にいれて渡す。
又は、光の当たらないところで保管してください。
でもいいんじゃないかなーと思う。現実的には。
添付文書の貯法:遮光、気密容器、室温保存
これは製剤の安定性試験で「120万lx・hrで類縁物質が増加」の結果を受けて遮光になっているのではないかと思われる。
原薬は120万lx・hrで安定だし、麻薬はだいたい30日以内の処方だし、まあ光の当たらないところで~って口頭で言うぐらいで十分かな。
※参考:120万lux・hrは500lux×8 時間×25 日間×12 ヵ月みたいなこと。
スインプロイクはトラムセットでも使える?
オピオイド誘発性の便秘であればスインプロイクは使える。
だからワントラム、トラマール、ノルスパン、コデインでもスインプロイクは使える。
スインプロイク適応:オピオイド誘発性便秘症
トラムセット作用機序:トラマドールは中枢神経系で作用し、トラマドール及び活性代謝物M1のμ-オピオイド受容体への結合が鎮痛作用に関与~
ちょっと高いけど日本発のいい感じの薬だから、たくさん使ってあげて欲しい。
スインプロイクはいつ飲むのがよい?
スインプロイクのおすすめの服用時間は朝食後だ。
なにやらスインプロイクの効果発現時間は4~5時間後ぐらいらしい。
食後投与でTmaxが3時間なのでそのくらいなのかな?
スインプロイクを寝る前で服用しても添付文書的には問題ない。
スインプロイクは食事の影響を受けないとのことで1日1回という用法になっているが、空腹時だとTmaxが約1時間と食後に比べて早まるので、一番効く時間帯が早まるかもしれない。
まあ朝食後しか見たことないので朝食後がいいと思います!
スインプロイクと酸化マグネシウムやセンノシドは併用可能?
特に制限はないので、スインプロイクとマグミットやプルゼニドは併用可能。
元々センノシドや酸化マグネシウムを使っていたのならば追加すればいいし、
元々使っていなかったのであればスインプロイク単独でいいのではないかと思う。
併用すれば効果が上がるか?と言われるとそうでもないような感じ。
「治療期 2 週間におけるSBMレスポンダー率」とやらでは、
定時緩下剤の併用の有り無しで、両方ともレスポンダー率が7割程度と差がない。
つまり、オピオイド誘発性であればスインプロイク単独で効くっぽい。
逆に、スインプロイクが効かない(2週間ぐらいで?)という場合は、オピオイドの影響があまりない便秘と考えて、別の薬に変更してみてもいいのではないかと思います。
スインプロイクは耐性ができて、効果が弱くなったりしますか?
今のところ耐性ができるといった話はない。
がん患者で12週、慢性疼痛の患者で48週までは、効果が低下するといった傾向はないようだ。
これ以上のことに関しては、まだデータ集め中。
作用機序的にも耐性ができるような感じはしない。
スインプロイクを調べている皆様におすすめの本
「今オキシコンチン飲んだばかりなんだけど、痛いからオキノームを飲みたい。どのくらい時間あければ飲んでもよいか?」
こんな電話が薬局にかかってきた時に、どのタイミングでオキノームは服用可能か、次の受診で言うべきことがパッと出てこないという人も多いでしょう。
病院とは違い、薬局ではカルテが見れません。
ある断片的な情報から全体像を推測できなければ、話にならないことがほとんどです。
そこで、「緩和ケア」についての本を一冊読んでおくと推測できる範囲が変わります。
せっかく麻薬処方せんを持って来てくれているのに、何のお役にも立てない。
少しでも役に立つ為には、勉強することです。
その状況が来てから調べるのでは満足のいく回答ができないことが多いです。
事前に状況を考えておいて、そのパターンに当てはまった時に、その回答を言う。
準備してないことができるなんてことはありません。
がん治療のための緩和ケアハンドブック〜症例・処方例・IC例で身につく! 鎮痛薬の使い方から心のケアまで
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