甘草の1日量の上限は?

ツムラ漢方を2種類以上併用した時に、

甘草含有量の1日量の合計が2.5g以上になったら、

副作用のことを考えてカリウムを定期的に調べておいた方がよい。

2.5g未満でもリスク因子が多数重なっていれば、

疑義でストップをかけておいた方がいい時もある。

甘草は1日5gまでとか聞いたことがあるが、芍薬甘草湯は1日6gになる。

甘草は1日最大量が何グラムまでというよりは、

長期連用するか?リスク因子がどのくらいあるか

によって疑義照会をすべきか、様子を見るべきか決まると思います。

処方頻度の高い漢方の甘草量の把握

偽アルドステロン症のリスク因子

それによって疑義すべきか様子を見るべきかについてでも書いておこうと思います。

 

 

 

甘草の量が多い・長期連用しやすい漢方を把握

調剤中に、甘草の量をいちいち調べるのは面倒だと思いますので、

処方頻度の高いものは覚えておくのがいいと思います。

薬局の棚に「甘草量2g/日」とか張り付けておいてもいいかもしれませんね。

ツムラ 1日甘草量 コメント
芍薬甘草湯 6.0g 7.5g分3で28日分Do処方は注意。1日1回でも2g
青竜 3.0g 風邪に小青竜湯医。薬はもう嫌だ漢方ならいい患者。
半夏瀉心湯 2.5g 胃の調子が悪い高齢者にDo処方が続いていることも。
葛根湯 2.0g 肩こりに謎の長期処方。風邪用の常備薬処方。
麦門冬湯 2.0g 抗コリン薬のSEで口乾くなどに長期処方。
防風通聖散 2.0g やせ薬としての謎の長期処方。
越婢加朮湯 2.0g どっか痛いで長期処方。そんなに見ないかも。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯 2.0g 手が冷えるに長期処方。
桂枝加朮附湯 2.0g 関節痛に長期処方。
柴苓湯 2.0g めまいとかUCに長期処方。
補中益気湯 1.5g 高齢者の調子悪いに謎の長期処方。
抑肝散 1.5g 認知症に長期処方。
加味逍遙散 1.5g 更年期・ほてりに長期処方。
六君子湯 1.0g 胃の調子が悪いに長期処方。
ネオファーゲンC3錠 1.875g(75mg) 甘草1g=グリチルリチン酸40mg換算で
グリチロン3錠 1.875g(75mg) 甘草1g=グリチルリチン酸40mg換算で

甘草が入っていないツムラ漢方

甘草0g→大建中湯、五苓散、麻黄附子細辛湯、麻子仁丸、半夏厚朴湯、牛車腎気丸、猪苓湯、柴胡加竜骨牡蛎湯

 

偽アルドステロン症のリスク因子を把握

なんか怪しいなぁ…という勘を磨く。

1個だと大丈夫かもしれんが、2個以上重なってると何か起きる率高し

  コメント
2種以上の漢方を併用 漢方なら安全という認識多し。結構甘草重複してる。
長期間の服用 内科のDo処方継続注意。
体が小さい高齢者 ちっちゃいおばあちゃんには過量な時も。気を付けるのは漢方だけじゃないけども。
食事でカリウム取れてない 痩せてる高齢者の食事量は少ない。食事が偏ってる時も多いでしょう。
利尿剤併用 Kの排泄を促進し、低K血症起こりやすくなる
ステロイド併用 尿細管でのカリウム排泄促進作用。
心疾患 ラシックスアルダクトンジゴシンみたいな人。利尿剤併用、腎機能低下してる人多し。結構リスク高いと思う。

 

疑義照会するパターン

ラシックス錠20mg 1錠

アルダクトン25mg 1錠

メインテート2.5mg 1錠

バイアスピリン錠100mg 1錠

イグザレルト錠10mg 1錠

フェブリク錠20mg 1錠

分1 朝食後

弁膜症あって腎機能低下してそうでって感じの人に、

風邪で小青竜湯3包分3で7日分みたいな処方来たら疑義必要な気がする。

調子悪いからもう7日間とか同じ処方したらもっと悪くなるやつ。

あとは自分で薬管理できないような高齢者に、漢方を分3でしっかり飲まされてるような状況。Kの値を確認する必要性があるかと思う。

 

疑義照会しないパターン

ツムラ葛根湯 7.5g

ツムラ防風通聖散 7.5g

ツムラ芍薬甘草湯 7.5g

分3 毎食後 28日分

葛根湯→肩が凝った時に

防風通聖散→最近体重が増えて…

芍薬甘草湯→足がつった時に…

「漢方なら安全でしょ?って患者」×「希望通りに出しましたという医者」

これは漢方には副作用があるということを患者さんに実感してもらい、

変な要求を医師にしないようにしてもらうべきかと思われる。

漢方も摂りすぎると、血圧が上がったり、むくみが出たり、ひどい時は不整脈で意識失って入院することもありますよ的なことを言っておくのがよいでしょう。