調剤薬局の在庫管理・在庫の絞り方
薬価改定。それは薬局で一番在庫を絞る時。
棚卸の時は適正在庫でいいけど、改定前はちょっと厳しめに絞っておきたい。
サラリーマン薬剤師にとっては自分の金ではないのでどうでもいいのですが、もったいない精神があるので放っておけない。
ちょうど今薬価改定前なので、薬価改定前の在庫管理で気になった点を書いておこう。
ちなみに200医療機関ぐらい受け付けてて、2000種以上在庫があるような普通の薬局を想定してます。
薬価改定の年の1/1~3/5(新薬価告示日)までにしておくこと
3月5日以降に返品ができる状態にしておく
「返品不可です」って言われると残り1ヶ月でできることは少ない。
「返品できないもの」は主に、
「半年以上前のもの」「包装/仕様変更・販売会社変更品」があると思う。
この2つを気を付けておけば改定の被害はある程度抑えられるのではないか?
「半年以上前のもの」を発生させない為には?
・期限が長いので返品せずに置いておいた。
・先入れ先出しが出来ていなかった。
360錠出る人がいたので5箱置いていた。
その人は来店しなくなっており、別の人で月に60錠動き続けていた。
2箱で回転させていて、3箱が棚の上で眠っていた。
返品しようと思ったら古すぎてできなかった。
グループの他の店にも貰ってもらえず、3箱で1万薬価が落ちた。
これは不動在庫としてデータに上がってこないので、期限切れのリスクも高い。
しかしこのパターンはよくある。
これを意識してる人間が薬局内に一人でも存在していればどこかで気付ける確率は高い。基本的に自分の業務で手いっぱいの人が多いので、「全員で意識」を強制すると雰囲気が悪くなる原因となる。
「包装/仕様変更・販売会社変更品」を発生させない為には?
・お知らせが郵送されて来たら在庫を確認する。
・なぜ包装変更を定期的にするのかを理解しておく。
最近、イナビルの薬剤トレーが透明になった。
おそらく返品不可による売上最大化を目的としている。
・ゾフルーザ発売による来期の急激な需要の減少予測
・薬価改定前(薬価は落ちないけど)
この2点が重なることでシーズン終了後に返品を行う薬局は例年より多い。
そこで回転の悪い薬局からの返品ができないような対策を入れておく。
そうすれば薬局に在庫を眠らせておくことができる。
・需要の減少(G発売、競合品発売等)→返品の増加
・薬価改定前→返品の増加
包装/仕様変更等には理由があるはず。
表向きには「要望に応えて改良しましたー」だが、そのタイミングには裏の理由がだいたいあると推測される。
「イナビルが透明になるのか」で思考停止せずに、在庫の見通しを意識しておかないと2000種以上の在庫管理はうまくいかない。
3/5(新薬価告示日)~3/31までの間にすること
在庫管理の方針によって動く。
何のために在庫をしぼるのか?
上司の機嫌を取るため、数字を達成するため。
いやいや私は「値下がりがもったいないから」ですね。「MOTTAINAI」
「欠品リスク」「残業代」「医薬品の損失額」のバランスを考えつつ、
その中でのベストを尽くす。
改善を重ねた結果、数字も機嫌も取れるようになる。
というのが消耗しない戦い方でしょう。
欠品しない在庫管理とは?
リードタイムは? | 発注してからどのくらいで納品されるか? |
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1箱でいくら薬価落ちる? | 1箱10万で5%落ちれば5000円。1錠2円落ちでも1000錠なら2000円。 |
何人が使用している薬か? | 1人1回30錠でも複数人いれば+1箱。1年に数回の人も把握。 |
60~90日処方が何人いるか? | 定期的に90日か?パターンを把握せよ。次回受診日が3/31前後と思われる人には予定日を聞いておこう。 |
処方日数が安定してない人はいるか? | 次回の処方日数を当てるのは経験値必要。処方医のクセ、患者の状況、増量や減量パターン、副作用チェックの必要性など。 |
あと周辺医療機関からの処方確率か。
これらの要素からおおよその欠品確率を出す。
2箱あれば99%大丈夫。1箱だと80%かなー。
そしてリスクを取って絞ったメリットと、欠品した際のデメリットを天秤にかける。
メリット | 1箱しぼって3000円。上司のご機嫌取り。 |
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デメリット | 欠品対応による業務増加。患者を逃して売上減少。 |
薬局の戦力が低く、欠品対応によるトラブルが予測されるのであれば緩めに。
完璧にやるのは無理。一人で機嫌悪くなって他の人に迷惑かけないように。